映画 「いま、会いにゆきます」

映画 「いま、会いにゆきます」

去年、大ヒットしたこの映画。満員の池袋サンシャイン劇場で、観て来ました。

※ この映画をこれから観られるという方は、以下は読まないほうがよろしいと思います。

前半は非常にまったりとしていて、正直評判ほどの映画かなあ、と思いつつ観てました。
けれど、話が進むうち、徐々に画面に引き込まれていきます。

一見シンプルなお話のなかに、巧みに仕込まれた伏線が、見事に一本の線に繋がります。
ちょっと冗長に思えた、丹念に積み重ねられた一つ一つのエピソードが、後半に効いてきます。
そして、観客はラストで 「いま、会いにゆきます」 の意味を悟ります。

全編に流れる穏やかな空気感、森、湖、雨、花などの自然の美しさが、心地良かったです。

この映画ツッコミどころは、多々あります。
あまりに鷹揚な主治医、さらに輪をかけて鷹揚な小学校の先生、
”潰れませんよね” とか言われても、12年先までの予約を受けるケーキ屋
いつもTVをつけっ放しの司法書士事務所と、そこでいつも寝ている所長、等など
でも、この辺は、ありえねーといいつつ、歓んで観て楽しむところです。

私は個人的に、子どもの出てくる映画は、どうも苦手なのです。
子どもや動物の演技は、演出者の品性というか、本性というかが、モロに出てしまいます。

息子の佑司役の男の子は、普通にいるだけで十分可愛い子です。
彼のしぐさやセリフには、終始 いかにもな演出意図が、感じられてしまいました。

もちろん、もっと露骨なお涙頂戴のお芝居は、過去にたくさんありました。
この映画は、私にはギリギリのところで、父親を ”たっくん” と呼ばせるのはまだしも
澪との別れのシーンで
”ママ、ごめんなさい。僕のせいで死んじゃったの?”
とまで言わせてしまうのは、あざとさを感じてしまいました。
もうすこし抑えた演出でも、別れの悲しさは十分に伝わったのでは、と思います。

後半、巧(中村獅童)が大学生の澪(竹内結子)に会いにいくところで
澪の格好が、廃工場での初登場シーンと同じだと気づきました。
そういえば、濡れているような風情だったなあ、とも思い出し
そうか これは 「黄泉がえり」 じゃなくて、「時をかける少女」 なのかと理解しました。

ラスト近くの 圧倒的なテンポで みせられた謎解きの部分を
家に帰って寝る前に、ゆっくりといろいろ思い起こしてみた。

それでちょっと気になったシーン。

澪が巧の同僚・みどり(市川実日子)に会うところ。
澪は巧と佑司のことを、みどりにお願いするが、やっぱり自分以外の女性が
巧たちと仲良くなることに耐えられないと、泣きだしてしまう。

ここでも世の女性達は、澪の優しさや純粋な気持ちに涙するらしい。
果たしてそうだろうか。ここはみどりの気持ちを考えて欲しい。

みどりは澪の死後、頼りない巧と佑司を公私に渡り、なにかと面倒をみてきて
徐々に巧に好意を持ってきている。澪はそれを知って話をしたのだ。
みどりからみると、それはとても残酷なことではないだろうか。

みどりは澪に言う。
”彼は私を女性として愛することはありえない。きっとあなたしか愛さない”
なんとも、けなげで切ないのは、みどりである。

もっと現実的にいえば、戻ってきた澪が巧と佑司以外で
以前の澪を知っている人間に、初めて会うのがみどりであった。
ここをどう描くのか、非常に興味があって観ていたが、これではちょっと疑問だ。

SFファンタジーでありながら、澪が戻ること以外は、ごく自然に描かれていたのに
かえってここは、なくても良かったのではないか。

さらに最大の疑問。

澪はどうして死んでしまったのか。

結婚して佑司を産んだからである。それはそうである。
28歳で死ぬのが澪の運命だった じゃ、巧を選ぶのは当たり前で、お話にならない。
でも死んだのは、佑司が5歳のときである。難産で体調を崩したとしても、それから5年も経ったあとである。
しかも、佑司のなかの澪への記憶、その想いからすると、決して5年間ずっと寝た切りだったとは思えない。
この設定、少々無理がないだろうか。

どうして澪は死を覚悟してまで、佑司を産んだのだろうか。
あの奇跡の六週間に出会った佑司が、あまりにいとしく、この世から抹殺してしまうなんて
とても出来なかったとも考えられようが、ちょっと弱い。

佑司に生を与えることが、澪の最大の幸せだった? 巧もそう思っただろうか。
だって佑司を産まなければ、ずっと仲良く暮らしていけたかも知れないのにである。

澪はこのことを巧に、話をしたのだろうか。
例えば妊娠した澪が巧に
”赤ちゃん産んだら私、長く生きられないかも知れない、でも頑張って産むね”
なんて言ったら巧はどう答えるのだろう。
あなたが巧ならば、この澪の選択を喜べますか。

巧にとって、澪あっての佑司であるのは、自明の理ではないだろうか。
まあ、SFっていうのは、たいてい未来を人に語るのはタブーなんだけど。

なんてことをつらつら考えていたら、このお話がどんどんつまらなくなっていきそうなのでもうヤメます。
こんなこと書いてると、女性から嫌われるよなあ。
この映画の良さが判らないなんて、あなたには愛がない、人間じゃない とか言われそう。
映画は、とても楽しく観ました。ゴメンなさい。

さらに蛇足。
この映画、みなさん絶賛されてて ”号泣” しましたって人が多い。
でも号泣ってのは、”大声をあげて泣き叫ぶこと” です。
少なくとも、映画館で号泣はないはずです。

もうひとつ。
どうして 「いま、会いにゆきます」 なんだろう。
小学生がテストかなんかで、こう書いたら 「~いきます」 に添削されて減点だよね。
いまはどっちでもいい ってことなんだろうか。



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