映画 「アダン」

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映画 「アダン」 を観ました。

奄美大島でその生を全うした異端の日本画家・田中一村の一生を描くこの作品。

私は不勉強で、かろうじて彼の名前だけは聞いたことがあるものの、彼の絵を見たことも
彼がどのような生涯を過ごした人物であったかなど、全く無知でした。

田中一村・・・幼少の頃から絵の天才として期待されながら
画壇から遥か遠くに身を置き、信じる道をひたすらつき進んだ孤高の日本画家。
昭和33年、50歳で奄美大島に渡った一村は、富や名誉を追い求めるのではなく
ただ真摯に、いのちをかけて絵を描く。己を極限までそぎおとしたその執念で
極彩色の自然に包まれて、画家として最高の、最後の一枚を描こうと決意する……。公式HPより

とても興味深い人物で、映画を観るのが楽しみでした。
主演は、自身が画家としても活躍する榎木孝明さんで、ユニークでとても魅力的な主人公を
鬼気迫る演技で、好演されていました。

榎木孝明演じる田中一村は、本当に魅力的な人物でとても惹き付けられました。

いわゆる教科書に載る偉人伝のような人物に描かず、依怙地で偏屈で
いい絵を描くことだけしか頭になく、当然生活力などなく、自分の絵を認めなかった画壇に
終生こころよく思っていなかったような、人間くさい面も見せてくれる人物でした。

田中一村は、比較的近年を生きた実在の人物ですので
当然本物の彼を知る人たちも遺族を始め、多くいることでしょう。
そうした方たちがこの映画を観て、どう感じるかは判りませんが
私には、この映画の作り手の一村への畏敬、尊敬が十分伝わるものでした。

田中一村が生き生きとしている分、他の登場人物は少々類型的に見えてしまいました。
一村の姉の古手川祐子、一村と正反対に見える生き方を選んだ画家の友人、村田雄浩
あとは加藤剛しかり、みなそれぞれの人生が見えてくるまでの存在感が感じられませんでした。

この映画の一村の生涯に対して、恐らく壮絶な、とか極限の といった形容がなされるでしょうが
本能のまま自分のやりたいことだけを貫き通した幸福な人生であったと、私には思えました。

確かに一日ダイコン一本やキュウリ三本で生き、最高の絵を描こうとするなど
並や大抵で出来るものではないでしょう。
ただし、”自分の絵を売ることは、魂を売ることだ”と言い切ってしまうのはどうなのでしょうか。
一村は画家でしたが、音楽や小説や他の芸術家が、そう思ってしまったらどうでしょうか。

画家を描いた映画でしたが、その完成した絵をじっくり見せてくれる場面は
あまりありませんでした。あえてそういう演出意図があったのでしょうが
もうすこし見たいという気がしました。

あとで田中一村をネットで調べると、劇中に一村が手がけていた作品は
どれも彼の代表作とされる作品であったことが判ります。
(彼の代表作とされるものは、多くが個人の所有となっており
本物を見る機会は、ほとんどないそうです。)

本作のタイトルのアダンとは、南の国特産の植物で
パイナップルのような大きな果実を実らせ、一村が好んだモチーフだそうです。

そしてアダンとはまた、劇中にしばしば登場する
一村の妄想が産んだと思われる、奄美の少女の名前でもありました。

この神秘的で野生的な少女を演じたのは、新人・木村文乃さん。
彼女の存在がこの映画の魅力の大きな一部になったと、私には思えました。

もっとも田中一村という画家の業績を綴ったドキュメンタリーとして
この作品を観にこられた方には違和感を覚える存在に見えたかもしれません。

とても面白く観られた作品でした。



アダンの画帖田中一村伝

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