映画 「松ヶ根乱射事件」

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映画 「松ヶ根乱射事件」 を観ました。

東京国際映画祭5日目は、個人的に期待が大きかった
山下敦弘監督の「松ヶ根乱射事件」 。

観客の多くは、その題名から恐らくサスペンス風な映画を予想して
スクリーンに向きあったでありましょう。

いやそれも当たってはいるのですが、そんな単純なモノではなく
なんとも表現しがたい人間の在り様が、ブラックでシニカルな笑いの中に
じんわりと浮かんでくる映画でした。

主演の新井浩文が画面に出てくると(彼の最近の出演作のイメージから)
狂気、暴力、破滅的といった言葉が浮かびます。

木村祐一ことキム兄が、今作ではそんな不気味で暴力的な男を
演じていましたが、どこかにそこはかとない可笑しさが滲みます。

他に出てくる人々も、みんなどこか妙なところのある人たちばかりです。

そんな澱んだ空気の地方の町・松ヶ根に、ワケありのカップルやら
ひき逃げ事件やら床屋の娘の妊娠などが絡み、徐々に歯車が狂い始めるのです。

従来の社会派の監督が撮ったならば、この後は衝撃的で
血生臭い展開へと進むはずでした。

ところが山下監督が撮ったこの映画は、そういった要素に満ちていながら
その視線が、ほんわかとして暖かく、突き放していないのです。

チラシの言葉を借りると
”人間って悲しくて、可笑しくて、情けなくて、いとおしい。”
となるのですが、そうまさにこの通りなのです。

ではこの映画は傑作かと言われたら、ちょっと困ってしまいます。

さまざま出てくる一つ一つのプロットは、山下監督らしい確かな語り口で
独特の間の笑いも随所にあり、十分楽しめるものでしたが
すべてのエピソードは結末まで描かれず、観客の解釈に委ねる作りには
戸惑う人も多いことでしょう。

ラストに至っても、いきなり梯子を外された感は否めません。
確かに観た後の、じわじわ来る余韻を楽しむにやぶさかではないのですが。
大勢で観て、あれこれ言い合うには最適かも知れません。

映画の途中で伏線をいっぱい仕込んで、ラストで見事に収束
ハッキリスッキリする映画がお好みという方にはキビシイ作品でしょう。

うーん、山下監督 賞狙いの、いつもと違うヨソイキの映画を
撮ったような気がしてなりません。

三浦友和サンのダメ親父っぷりが、とても印象的でした。
こんな友和サン、見たことあったかなあ。
それにしても百恵・友和映画の端正な二枚目俳優が
実にイイ役者さんになられたものです。

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