映画 「蒼き狼 地果て海尽きるまで」
映画 「蒼き狼 地果て海尽きるまで」 を観ました。
かのチンギス・ハーンの生涯を描いた歴史超大作映画。
総製作費30億円をかけ、オール・モンゴルロケを敢行したという角川映画でした。
なんでもモンゴル建国800年ということらしいのですが、どうして今
日本映画でチンギス・ハーンなのか、ということに疑問を持ちつつ
スクリーンに対峙することにします。
日本人俳優がモンゴルの地において、日本語で互いをモンゴルの名で
呼び合う居心地の悪さをまず感じ、最初の30分ほどを観たところあたりから
芽生えた予感は、残念ながらラストに至るまで覆らなかったようでした。
角川大作映画のイメージの、負の部分だけが強調されてしまったように思えます。
確かにスケールの大きさは感じましたが、大仰にして大味で迫るものがありません。
ハーンの生涯をかなり駆け足で描いてしまったためか、ひとつひとつのエピソードに
深みが無く、ドラマを感じることが出来ません。
観客を置き去りにしたまま、淡々とストーリーは先へ先へと進んでいくようでした。
基本的にはモンゴル制圧を目指す、ハーンの合戦の歴史を綴ったお話ですので
戦闘シーンが多く見られます。
モンゴルの大草原を舞台に何百、何千もの騎馬隊が駆ける合戦シーンは
確かに迫力がありました。
こうした画を撮るのは映画監督の夢でもあるのでしょうか。
しかしながら長尺の作品において、何度も繰り返し見せられては
逆効果にさえ思えます。
このあたりも製作者側の意識と観客のそれとの間に、相当なギャップを感じるところでした。
壮大なスケールで、どうだすごいだろ だけで満足できるものではないのです。
戦いのない豊かな国を造りたい、として戦い続けたハーンの生涯を
今の映画として描くのならば、少々視点を変えることも必要ではなかったかと思います。
”血を流さないための血を流すのだ”というセリフが印象的でした。
オール・モンゴルロケということには、メリットだけでなくいろいろな制約も
合ったことだろうと想像します。ですが私には退屈を覚えてしまった映画でした。
なにか小回りの利かない恐竜が、ただのた打ち回るかのような印象を持ちました。
主演の反町隆史始め俳優陣は、みなさん頑張っておられたように思いますが
個々人の人間が感じられるところまで描き切れていないので、存在感が希薄でした。
特に、戦いに敗れた国の女たちの悲しさなどは感じられませんでした。
大作故でしょうか、ものすごく辛口の感想になってしまいました。
なにをエラそうに、と不快に感じる方がいらっしゃったら申し訳なく思います。
ですが、これが素直な実感でした。
一番印象に残ったのが、女戦士を演じた新人女優・Araさんの登場シーン。
すごく視線に力があって、凛々しくキレイな女優さんでした。
彼女の顔のアップは見惚れてしまうほど。
巨費を投じた大作の感想がこれではいけません。
邦画のレベルを十年も二十年も後退させたかに思います。
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この記事へのコメント
壮大なスケールの映画、莫大な金額の制作費などなど、クローズアップされるのがそちらばかりで、物語の重要性が薄まってしまったように思いました。
モンゴル人を日本人ばかりで演じるというのにも、限界があるのかもしれませんね。
めったに酷評することなどないのですが、この映画はどうにも私にはイケませんでした。Araちゃんはキレイでしたねえ。
またお寄りください。
アンディの日記シネマ版のこーいちです。
僕もイマイチでした。
ストーリーが薄っぺらで感情移入できないし
スケール感もそんなに感じなかったんですよね。
作り手の熱意は伝わってくるんですけど
空回りしている印象でした。
やっぱり、ダメでしたか。
私も製作者側の意識と観客のそれとの間に
大きなギャップを感じました。
またお寄りください。
>ハーンの生涯をかなり駆け足で描いてしまったためか、ひとつひとつのエピソードに深みが無く、ドラマを感じることが出来ません。
・本当にその通りだと思いました。
どのエピソードも浅くて軽いと言うか。息子を亡くすシーンでさえ、私はなんとも感じなかったんですよ(>_<)!
>どのエピソードも浅くて軽い
いかにも大味な角川映画の悪い伝統が出てしまったようですね。