映画 「バベル」

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映画 「バベル」 を観ました。

モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本を舞台に、ブラッド・ピット、
役所広司らが演じるキャラクターが、それぞれの国で、
異なる事件から一つの真実に導かれていく、言語、人種、国
などを超えて描かれた、衝撃のヒューマンドラマということでした。

いわずと知れた、孤独な聾の少女を演じた菊地凛子の演技に
世界中が注目した話題の作品でした。

タイトルのバベルとはもちろん、旧約聖書に登場するバベルの塔
からきており、”天まで届くかのようなバベルの塔を作ろうとした
人間に驕りに怒った神様は、ひとつであった言葉をばらばらにした”
という逸話からのものです。

これは完成度の高い、見事な作品に思いました。

言葉が通じない。心も通じない。想いはどこにも届かない。
私たちは争いが絶えない世界の住人である前に、
同じ星に生きる命のひとつではなかったか?

チラシに書かれていたこのキャッチが、同時進行する複数の
ドラマによって、見事に観客の心に伝わってきました。

そのひとつひとつのドラマが良く出来ていて、スリリングで
惹き付けられるものでした。

正しく伝えることが出来ない辛さ、もどかしさ。

この映画には人間の弱さ、脆さ、愚かさが詰まっていました。
ほんの些細な迷いや判断の甘さ、過ちがとんでもない連鎖を生んで
悲劇は拡大してしまいます。これは因果応報というものでしょうか。

私はすごく感銘を受けましたが、はっきり言って楽しい映画ではありません。
むしろとてつもなく悲しい映画です。
ですがそのまま終わるのではなく、伝え合うには何が大事なことなのか
を示唆した、救いのある作品になっていました。
ここが素晴らしいと思えたところです。

この映画は143分という長尺の作品でしたが、その凝縮した内容の
濃さ、深さには圧倒されます。
ぜひ一語一句に集中して、じっくりと観ていただきたいと思います。

それでも綿密に練られた脚本は、すべてを語りつくしてはおらず
観客の自由な解釈に委ねたような箇所も多いのです。

こういうところを作品の瑕疵として観てしまっては、
この映画の良さは半減します。
しっかりと観て、その後仲間と語り合うのには絶好の映画でしょう。

例えば菊地凛子さんが演じたチエコという少女のこと。
彼女の家庭や生い立ちなど、最小限のことしか映画では語られません。
彼女が刑事に渡したメモは、その内容が明らかにされませんでした。
このメモの内容は(どうであれ)重要なことではなかったのです。
私はそう思いました。気にはなりましたが・・・。

それにしても菊地凛子さんの見事な存在感!
チエコのことは多くは語られずとも、その演技はチエコという少女が
その人生において味わっている疎外感、求めては拒絶され続けた
悲しさが痛いほど伝わってくるものでした。

彼女は言葉で伝えることが出来なかったので、身体で繋がりたいと
考えたのでしょうか。鬱屈した彼女の極端に見えた行動も、
彼女の演技によって、チエコの心の闇が垣間見えて、チエコを
いとおしくさえ思え、決して突き放したりは出来ませんでした。

一部で、目がチカチカして気分が悪くなったと話題のクラブのシーン。
ここでも彼女は実に魅力的な表情を見せてくれています。
目をそらさず、頑張って凝視してもらいたい素晴らしいシーンでした。

どちらかというと私はその前の、ハイになった彼女のブランコの
イメージ・シーンに酔いそうになりました。

この作品は絶対のオススメです。
娯楽大作としてでなく、スクリーンに対峙してご覧ください。


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この記事へのコメント

2007年05月12日 10:36
これは アノシーンですね。きわどいシーンも なぜか切ないのが『バベル』で 同時に進行するドラマも切羽詰っていて 非日常なのに どっとおしよせるリアル感がありました。
Mr.G
2007年05月12日 20:17
まりさん、ご覧になられたのですね。
含蓄のある味わい深い映画でしたねえ。
しかもドラマとして良く出来ていて
リアルで惹き付けられました。

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