映画 「空気人形」
映画 「空気人形」
『歩いても 歩いても』などの是枝裕和監督が、
業田良家原作の短編コミック「ゴーダ哲学堂 空気人形」を
映画化した切ないラブストーリー。
心を持ってしまった空気人形と人間の交流を温かく見守る。
『グエムル -漢江の怪物-』のペ・ドゥナが空気人形役を熱演。
共演者も『蛇にピアス』のARATAや『ニセ札』の板尾創路ら
個性派が顔をそろえる。
国際的撮影監督、リー・ピンビンのカメラによる
情緒豊かな東京の風景と、人形の純粋さに夢中になる。
シネマトゥデイ
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是枝裕和監督らしい作品だなと思いました。
”切ないラブストーリー”というのをそのまま期待すると、
ちょっと違和感を覚えるかもしれません。
”人形が心を持つ”というクラシカルともいえる題材を、
それは丁寧にじっくりと、切なくリアルに描いた映画でした。
ただしその人形というのがラブドール(私などには
ダッチワイフという名称の方がしっくりきます)なのです。
まさに大人の寓話というべき作品。
ラブドールたる空気人形に心が芽生え、持ち主が仕事に出ると
外に繰り出して人と出会い、仕事を得て恋をし、生きる意味を
考える・・・というようなストーリーでした。
俳優さんの演技、カメラ、脚本、演出、編集、音楽など等、
素人ながら映画としての完成度の高さを感じました。
特にペ・ドゥナの演技に釘付けにさせられます。
心が芽生えた空気人形ペ・ドゥナのみずみずしさ、愛くるしさ、
刻々と変わる豊かな表情には、誰もが惹き付けられることでしょう。
空気人形であるゆえ性的な描写も少なくありませんが、
彼女のヌードはとてもキレイでした。
ですが一番官能的に思えたのは、彼女が想いを寄せる男性に
抜けた空気を吹き込まれるというシーンでした。
心を持ってしまった空気人形と対になる、
さまざまに複雑な、満たされない心を持つ人間たちが、
リアルな生活感に溢れている描写で印象的でした。
オダギリ・ジョーさんの優しさが沁みましたが、
ラストはやはり切なくて、何とも言えなくなりました。
ペ・ドゥナが劇中で口ずさんでいたのは
”仁義なき戦い”のテーマでした。とてもキュートでした。
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