映画 「ザ・ロード」
映画 「ザ・ロード」
コーマック・マッカーシーがピューリッツァー賞を受賞した
同名のベストセラー小説を映画化したロード・ムービー。
文明崩壊後のアメリカで、人間としての心を失わずに旅を続ける
父子の苦難の日々を描く。
よき父親を熱演するのは『イースタン・プロミス』のヴィゴ・モーテンセン。
共演者も『アンダーカヴァー』のロバート・デュヴァルや
『ハート・ロッカー』のガイ・ピアースら個性派が集結。
ジョン・ヒルコート監督も絶賛のヴィゴの危機迫る演技に、思わずうなる。
シネマトゥデイ
-------------------------------------------------------
暗い映画でした。
シリアスで重たい映画も嫌いではないですが、この作品
暗さでは最近見たものの中ではダントツではないでしょうか。
近年よく見かける文明崩壊後の世紀末映画の一本ですが、
スペクタクルな描写やバトルのアクションなどのエンタメ要素を
あえて省いたような、それはもう冬の日本海なんかより更に
どんよりと暗い場面が延々と続く、陰々滅々たる映画でした。
だから映画は娯楽で楽しくなくちゃ、と思う方は見ない方がいいかも。
大枚1800円をはたいてなんでこんな気分にと思うこと必至でしょう。
生き残った僅かな人々が残された食物を求めてさまよい、
互いを襲って喰い合うことも、という極限下の世界で
人間的な生き方を模索し続ける父子の旅の日々を描いていました。
だから必然的に内容は宗教的、あるいは哲学的になります。
どういう生き方(死に方)を選択するのか、また親は子に何を教えるのか、
こういうあたりをじっくりと描いているのは見応えのあるところです。
色々と考えさせられる映画でした。
主人公の生き方に異を唱える方ももちろんいることでしょう。
私も首を捻ることが多いように思いました。
あまりに無垢で無知な子供にも理解し難い感情を持ちました。
それにまずあの状況下で子供を産むことが正解だったでしょうか。
とにかく生き延びることを望むのであれば、少なくとも子供には
生き残った人々との合流というか、群れることを教えるべきではないのかと。
それにしてもああいった状況においては、人は協力しあうことより、
まずは自分、従って他人は敵という思考になるのでしょうか。
ラスト・シーンは”善き者”でいることを選んだ息子への
ご褒美なのだったかも知れません。
でもヒネクレ者やホラー映画好きには、あの直後に起きる
悲惨な場面が脳裏に浮かんだところでエンド・ロールなのでした。
この記事へのコメント