映画 「借りぐらしのアリエッティ」
映画 「借りぐらしのアリエッティ」
メアリー・ノートンのファンタジー小説「床下の小人たち」を基に、
古い家の台所の下に暮らす小人一家の物語が展開するジブリ・アニメ。
企画は『崖の上のポニョ』の宮崎駿が担当し、『千と千尋の神隠し』
『ハウルの動く城』といったジブリ作品にかかわってきた米林宏昌が監督を務める。
舞台を1950年代のイギリスから現代の日本に移した設定と、人間の少年との
出会いによって翻弄される小人の少女アリエッティの運命の行方に注目だ。
シネマトゥデイ
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ジブリの新作ですのでほってはおけません。
公開一週間目にやっと見ることが出来ました。
冒頭の日本の田舎の旧家の風景に胸がときめきます。
やっぱりジブリの描く森や自然の風景は素晴らしい。
ストーリーはごくシンプルながら、いつも通りの
夢とロマンのジブリの世界に惹きこまれていきます。
ただし本作は楽しいファンタジーというものでなく、
静謐で全編に哀しみが満ちた作品という印象でした。
このあたりはいつものジブリの、天を駆けるような
ダイナミックで痛快な物語の展開は見られません。
心臓を患う物静かな少年と、人目を避けて生きる宿命の
小人のアリエッティの家族の物語ですから、ハッピーエンドには
ならないであろう予感は冒頭からずっと頭にありました。
アリエッティと少年の交流の根底にあったものは紛れもなく、
ほのかな”恋”の感情の芽生えに思えましたが、同時に
互いに最初からこの想いの成就はあり得ないと理解している、
なんとも辛く儚い二人の関係に切なくなるのです。
それでも飛び切りの美しい映像はとても見応えがあり、
ドキドキワクワクしながら、全編を見ることが出来ました。
そして予想通りの切なく悲しいエンディングでした。
人間とは相容れない、まして共存などあり得ないであろう
小人とののお話ですから、こうなる以外はないだろうなと納得するのです。
もしあのお手伝いのハルさんが心優しいロマンティストだったら、
なんていうことを考えなくもないのですが、やはり誰かが悪者になって
こういうふうな収め方をするしかないのだと思いました。
またいつものようにいろいろと深読みが出来そうな、
静かなとても良い映画でした。
最後にひとついうべきは声を担当した著名な俳優さんたち。
日頃は俳優さんや芸人さんが声優をやるのはやぶさかでないと
考えるほうでしたが、本作は若干その考えにブレが生じました。
どの方も第一声からご本人の姿が脳裏に浮かぶ、この存在感は
アニメの世界に没頭するには妨げとならざるを得ないと思いました。
とくにそう感じたのは大竹しのぶさん。
絵と全く調和がないように感じてしまいました。
彼女の女優としての凄さはいうまでもありませんが、
彼女はその身体でもって全身全霊で演技すべき人なのでは。
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