映画 「東京島」
映画 「東京島」
直木賞作家・桐野夏生の同名ベストセラー小説を原作に、
無人島に漂着した23人の男と唯一の女性である
40代の主婦が織り成すサバイバル生活を描いた人間ドラマ。
無人島での奇妙な共同生活を、『おかえり』の篠崎誠監督が活写する。
直感と行動力を頼りに困難に立ち向かっていくヒロインを、
『ぐるりのこと。』の木村多江が熱演。
共演には窪塚洋介、福士誠治、柄本佑ら個性豊かな若手実力派がそろう。
シネマトゥデイ
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無人島でのサバイバル生活、ということから予想していた内容と
かなり異なる印象を受けた作品でした。
ハードで過酷というよりは、切実さがあまりなくコミカルな味わいも
かなり意識して加味したような演出でした。
無人島生活とはいえ、温暖な気候と水や食料が比較的容易に手に出来れば、
実際もあるいはこんな感じになっていくのかも知れません。
(最もそんな条件の良いところが無人島であるはずもないのですが)
いわゆる漂流譚の定石ではないストーリーは、緊迫感にこそ欠けるものの
先がどうなるのか読めない楽しさはあり、十分に面白い映画でした。
ですが最後まで見ても何かスッキリせず、映画を見た満足感も
カタルシスも全く得られなかったように感じてしまったのでした。
原作は未読なのですが、あのラストはないよと言いたいです。
木村多江さん演じる主人公の行動、生き方はそれなりに理解できて、
いささか場当たり的であるにせよ、臨機応変なしたたかさは魅力でした。
この役を彼女が、と最初は思いますが、木村多江さんならではの
存在感で、見事なキャスティングに思いました。
それになによりとてもキレイで魅力的でした。
集団を統率するのは、力(暴力)であるのか、生活力なのか、知力なのか、
カリスマなのか、あるいは合議制であるべきなのか、なんていうところも
見せてくれて考えさせてくれはしますが、やはり中途半端な感じでした。
もとより、リアルさを追求したようなものではないので、
あれこれと突っ込みを入れるよりは素直に受け入れて見ることです。
だからラスト近く、日本人チームが中国人チームを襲うところは
相当に唐突な印象を受けたのも、舫ってもいないモーターボートに
主人公らが首尾よく乗り込めたのも、映画ですから良しとしましょう。
どうせならばここで終わっていたほうが良かったのではないでしょうか。
ラストは私には不可解であり、不愉快でした。
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