映画 「瞳の奥の秘密」
映画 「瞳の奥の秘密」
長年勤めた刑事裁判所を退職した男が、25年前の
未解決殺人事件をモチーフに小説を書き出すものの、
過去の思い出に支配され苦悩するサスペンス・ドラマ。
アルゼンチンを代表する名監督ファン・J・カンパネラが
1970年代の祖国の姿を背景に、過去と現在を巧みに交差させ、
一人の人間の罪と罰や祖国の軌跡を浮き彫りにする。
また、本作は第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。
主演は、カンパネラ監督作品の常連リカルド・ダリン。
衝撃的な秘密が暴かれるラストに言葉も出ない。
シネマトゥデイ
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これは面白い映画でした。
実に深い、コクがあるというか、味わいのある作品で、
良質の映画を見ている幸福感に浸れた映画でありました。
25年の時を行ったり来たりする構成になっていますが、
主な俳優さんは皆、本人が若き日と25年後を演じていて
違和感がなく、スンナリと話に入っていけます。
特にヒロインのイレーネを演じた女優さんが見事でした。
25年越しのミステリーと、主人公と若き女上司イレーネとの
もどかしい愛の物語を軸に、実に緻密な人間ドラマが展開されます。
何が素晴らしいといって、そのストーリーがサスペンスフルであって
通り一遍でなく、まさに先の読めない展開に引き込まれました。
人間の業の深さを描いた、大人の映画と言えるでしょう。
かと思えば、満員のサッカーのスタジアムでの犯人探しといった
黒澤明の「野良犬」のような場面もあって、大いに楽しめました。
主人公の相棒のアル中のパブロが実にイイ感じで、
彼の最後の場面は胸を熱くさせてくれました。
”衝撃的なラスト”も万人が受け入れるようなものではなく、
この全編に漂う、どこかすっきりしない、もどかしさこそが、
この映画の持ち味であると言えるのではないでしょうか。
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