映画 「グラン・トリノ」

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映画 「グラン・トリノ」

『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりに
クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた人間ドラマ。

朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい主人公が、
近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、
自身の偏見に直面し葛藤する姿を描く。

イーストウッド演じる主人公と友情を育む
少年タオにふんしたビー・ヴァン、彼の姉役のアニー・ハーなど
ほとんど無名の役者を起用。

アメリカに暮らす少数民族を温かなまなざしで
見つめた物語が胸を打つ。        (シネマトゥデイ)
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凄い映画でした。

クリント・イーストウッドのキャリアの集大成の感もある
小粒ながら素晴らしい傑作であるように思いました。

近年では人生の不条理やら人間の心の闇を描いて
優れた作品をいくつも演出してきた彼ですが、本作では自身が
主演としても存在感抜群の絶品の演技を見せてくれました。

本作の主人公の、偏見に満ちて、汚い言葉を吐く頑固ジジイは、
かつての彼が演じた”ダーティー”ハリー・キャラハン刑事が
年老いてリタイヤしたかのような人物に見えるのでした。

本作には人種差別や卑劣な暴力や生と死、懺悔と贖罪、宗教などが
描かれますが、説教臭さや退屈を全く覚えない面白さがありました。

とりわけイーストウッドの演じる、朝鮮戦争帰りの
ウォルトという人物描写が秀逸で魅力的でした。

またシリアスなテーマを扱いながら、随所に感じられた
巧みなユーモアのセンスは、これまでにない見事なものでした。

ウォルトと隣のタオ家族との交流の様は、実に微笑ましく
ふと気付けば長い間彼が抱いていた偏見は、美味いチキン団子に
あっさりと取って代わられるようなものであったのです。

そんな彼と友人の前に降りかかった理不尽な暴力に対して
熟慮した上で彼が取った行動とはいかなるものか。

ダーティーハリーの頃の若かりしイーストウッドであれば、
あるいはサム・ペキンパーの映画であれば、ウォルトとタオは
ライフルを手にしてギャングと刺し違えたのかも知れません。

ウォルトが取ったのはそれよりもさらに、見る者の心を震わせる
サムライのような男らしい決意を示すものでした。

もちろんその結末は書きません。どうぞ劇場でご覧ください。

映画として、実に見事な見応えのあるエンディングでした。
伏線の張り方も巧みで、深い感動と余韻を残してくれた作品でした。









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